GYPSY QUEEN ROAD TO ASIA 2004
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2004/04/28-05/03 


2 明日への道


2004/04/29

7:00起床少し二日酔いだ。7:30に朝食をとる。どんなつらくても朝はメンバー全員で集まる。これは必ずツアーで行なうこと。理由を問わず必ず集まる。それがGYPSY QUEEN流。簡単なミーティングを行い解散。今日はCFAの局長に会うのだ。それにしても自分が酒臭い。きっと相手にもわかるだろう。それは失礼なことだ。お茶をたくさん飲み、フルーツで潤し(?)何とか持ち直そうとする。昨日飲みすぎたことの後悔はいつのよにも訪れる悪夢だ。8:20出発 バスの揺れも胃にしみこむ。僕らを乗せたバスは対岸に渡りメインストリートをよじ登っていく。

曲がりくねった坂道を乱雑に入り乱れて走る車の群れをみると混沌と繁栄というイメージがぴったり来る感じだ。半年前とはすでに変わっている町並みにびっくり。バスは一昨年泊まったヒルトンの目の前にある体育局に向かう。9:00荘厳ともいえる建物に到着。重慶市体育運動委員会、そして重慶市足球協会。そう、アジアカップの日本戦の開催地区でもあるこの重慶の決定権を持つ部門である。その建物の奥には4万人のスタジアムがある。歴史を感じるその事務所の中に気さくな感じの局長がいた。

場所の重厚さにおされているぼくらがいる。歓迎の言葉を受けて僕らからも重慶での公演に対するお礼と思いを伝えた。通訳の陳さんが僕のへたくそな中国語を翻訳(?)してくれて伝えてくれる。毎度のことだが、大事な話のときは、大事だからこそ中国語で話すことにしている。通じる通じないは次元が違う。相手の言葉で伝える気持ちが大事だと思っている。言葉の中身は一つ。僕らはこの土地が好きだ。それをいくら流暢に日本語で装飾しても数々の会談、ミーティングを繰り返している局長には心に残らないだろう。一番大事に相手の心に自分を伝えるのはほかでもない「同じ言語」を語る人だけだ。ボキャブラリのなさから途中からは日本語になってしまったが、僕は思ったことすべてを言い放った。下手な中国語、二日酔いの冷や汗。それでも伝わっただろう。予定を大きくこえて1時間あまりの会談は単に表敬訪問ではなくアジアカップへの道筋を作るものであった。多忙な中時間を作ってくれた局長に感謝。でも、これもしのんが中国語を話せるからに決まっている。ここでも地道な日々の努力、語学が活きることになる。

一行は体育局をでてコンサート会場に向かう。写真では見ているが実際どんな会場だろうか、機材は大丈夫だろうか。慣れてきたとはいえ少しばかりの心配もある。珊瑚公演露天劇場は朝天門の近く、長江沿いにある。ホテルから見るとちょうど対岸の位置にある。会場に着くと立派なゲートが設置されていた。入場ゲートをくぐり300mほどのアプローチを進むと眼下にステージが広がる。事前に聞いていたとおり5000人は収容できるオールスタンディングのステージがあった。最前列のほうが急な階段になっており、ここに貴賓席を設けるためにイスを置くという、あとは全てスタンディングの会場だ。一目見て心配は消え去った。前回のノウハウを全て吸収している陳さんにびっくり、さすが重慶一のセンスと能力を誇る陳さん。音楽業界ではないのにすでに名プロデューサーの風格だ。

このツアーは今回も陳さんから始まった。アジアカップが重慶で開催されることになったときに僕らと陳さんの中ではおぼろげながらこの設計図が浮かんでいたのかもしれない。たった五ヶ月前に2度目の公演を果たした僕らがこうして3度目の公演を迎えようとしている。この遠く離れた地で3回の公演。特に二回目、三回目は意識を持った公演となっている。好きな都市だからといってそういけるものではない。それも中国で。そんな特例の特例を作り上げてくれた陳さんに感謝。「どうですかすばらしいでしょう、ホホホ」と笑う陳さんに僕らは100%の笑顔で返す。これはきっとすばらしい公演になるだろう。

       記者会見で                         珊瑚公演露天劇場
会場を視察して11:00。昼食の重慶賓館に向かう。ここでは昨年最後の食事を取った記憶がある。そういえば前回ずっとお世話になった劉ちゃんの顔が見えない。話を聞くとお母さんがご病気だそうだ。それも重病と聞いてびっくり。さっそくメンバー全員でお見舞いに行こうということになる。きっと僕らがもっと有名になればいろいろなことをしてあげることができるのだろう。でも、今はお見舞いに行くことしかできない。無力な僕ら。昼食を終え12:20ホテルへ。記者会見が14:00からあるため食事もすばやく切り上げ準備に取り掛かる。

14:00ホリディインの3Fのレセプションルームで記者会見となる。主催のラジオ社とTV4社、雑誌1社、新聞3社等が来ているらしい。インパクトのある入場ということで歌を歌いながら入場。昨年より少し話ができるようになったせいか、リラックスした会見が始まる。記者会見というのはされるほうにもメリットがある。重慶のメディアが僕らについてどう思っているか、また日本についてどう思っているか、が如実にわかるのだ。アジアカップでの中国チームのことや日本での活動についてそして今日本で流行っている音楽などについてきかれた。曲目リストが事前に渡されており「我愛重慶」についていろいろ質問がされた。彼らもまた外から見た重慶評を知りたいのだ。その流れでこの歌を歌うことになった。いたってシンプルなこの歌。わかりやすさは抜群なのでとりあえず演奏するにはよい曲だと思う。場も和んできて1時間足らずの会見も無事終わった。会見終了後はミーティング。最後の最後までセットリストを見直す。若干の修正が入って個々に調整。あっという間に夕刻になってしまう。今回は本当に時間もなくビールを買いにいく余裕もない。まあ、飲む間もないのでいいのだが、本当に時間がほしくてほしくてたまらない。そうこうしていると集合時間となり各自ちょっとはまともな格好でロビーに集まることになった。

今晩は重慶政府文化部の会食である。18:30。重慶での興行の権益をすべて握る重慶文化局。その副局長主催の晩餐会に出席。ぼくらがなぜ重慶で音楽をやるのかということで話は盛り上がる。重慶は西部大開発の拠点だ、その重慶で湾岸地区の発展に負けない大きな飛躍に自分たちも力も貸したい、そして重慶と日本は不幸な歴史の中にある。日本人として無視できない事実がある。直接は関係ないし、ぼくらは国の代表でもなんでもない。でも、それはちがう。ここ重慶に来ている僕らにとってそれは他人事ではないのだ。過去は変えられない。だから未来のために僕らを通じて日本人への印象が変わればいい、僕らを通じて日本の気持ちを伝えられればいい。そんなことは実はたくさんあるしできることでもある。なぜそこまで重慶に思い入れがあるのか?それは単純なこと。重慶には僕らをまってくれている人がいる。それだけで理由は十分であるそんな話をした。思った事全てをだ。歴史に触れたとき副局長は下を向き、大きくうなづいた。そして今まででいちばん力強く握手を求めてきた。ぼくはこの人が好きになった。きっとこの人も僕らを好きになってくれるに違いない。それであればつぎからはあなたのためにも来るよ。そうして会いたい人がどんどんできてきて僕らのROADは続く。果てしなくどこまでも続くことになるのだ。

宴席の終わり際に京劇の歌を副局長は歌ってくれた。ものすごい声量。中国人はなぜか歌がとってもうまい人が多い。音楽を芸術としてみているせいか、とってもうまい人が多い気がする。ここで、お返しをしなければとおもった。本当はしのんがしっとりと歌うのもよいかなと思ったが、あえて「我愛重慶」にした。今日の会の主旨にはこの曲が一番であろう。宴は和やかに過ぎ、そして、なんと次回の来重慶に向けて新しい提案などを話つつ幕を閉じた。そして、そのあと副局長を連れ出し、ホテルのオープンバーへ。実はここでしのんが歌うことになっている。そういうこともあり先ほどの宴席でしのんが歌わなかったのだ。もちろん相手には伝えていない。サプライズということで僕が一緒にバーに到着するとしのんは先回りをして準備をしていた。

「みなさんのために少しだけ歌います」そうやって歌ったのは「康定情歌」と「但願人長久」だ。他のお客さんも巻き込んでの大合唱となるほどもりあがり会は本当に終わる。副局長もとても喜んでくれて、なんと「明日のコンサートに文化事業担当者を連れて行くので公演終了後に打ち合わせができないか?」という提案をしてくれた。なんと!ということは再び重慶にこれるかもしれないということではないか!公演前にすばらしい答えが帰ってきた。いや、油断は禁物。明日の公演の音しだいでもある。僕らがやっているのは音楽だ。最終的な評価は全てそこに尽きる。がんばらねば。どこまでもがんばり続けなければと思う。文化部の方達を送り出した後は簡単な打ち上げのためにバンド沿いのカラオケに向かう。

長江を見渡すVIPルームでの中国語カラオケ。とっても眺めの良いところであった。今日一日はとても気を使った。精神的にもかなりつらいものがあった。昨晩の寝不足も効いている。明日の本番を控え今日は早めにホテルに戻る。23:10ここのところのツアーでこんなに早く帰ったことはないのではないだろうか。それでも今晩もやらなければいけないことがたくさんある。今日の出会いを全て記録して対策を考えなければいけない、明日は明日で忙しい今思ったことを今記録することが大事だ。今日あったことは全て明日へとつながる大きな足がかりになるに違いない。自分を大事にすることも必要だ。その全てが明日の答えとなるからだ。1:00就寝。明日も早い。