僕らのブロックはスムーズに進み、次のショウタイムに移る。楽屋に戻るとフンちゃんが水を持ってくる。冷やしたお絞り片手に「AKI、are you ok?」と。そしてnam君もやってくる。「次の次の曲で終わるのでスタンバイしてください」。見事なディレクターぶりだ。僕らは大丈夫と思っていても万全を期すために早め早めのスタンバイをかけさせる。僕らがあおられている。これも今までのアジアにはなかったことだ。そしてバックステージに。このブロックではメドレーで4曲となる。ここでドラムはmasaoから変わり、工藤ちゃん登場。今回は本当にいきなり参加してもらうことになり直線の準備でも本当に迷惑をかけた。しかし、いやな顔せず、そして現場での変更もばっちり応えてくれた。
仕事を超えた対応をしてくれて本当に感謝だ。だからこそいい舞台にしたい。くせのない正確なリズムのおかげで安心してベースが弾けた。このブロックは演出効果も多く、僕らの動きを含め本番に課題を残した。立ち位置がダンサーとぶつかったり、動きようがなかったり、また花道にH2Qが移動したときの置いて行かれ感などかなり埋めなければいけないことがでてきた。そして、また楽屋へ。ここでもnam君はスタンバイをせかす。とはいえ恐ろしい暑さ。ちょっとでもここにいたいが敏腕ディレクターに連れられてステージ袖へ。水をかぶったりダンサーとの絡みなどまるでミュージカルを見るようであった。
次々に繰り出されるオーダーにも追いつきこなす。ここは戦いだ。そしてコンサートの締めくくりの2曲「Tinh yeu mai mai」と「Anh」のバラードになる。この2曲を聴くためにコンサートに来るといっても過言でない曲だ。バラードをしっとりとではなくて荘大に聞かせる演奏をしなければならない。歌とバンドが一つになった時にのみその力は発揮される。楽器と声のバトルだ。そしてグランドフィナーレ。宙高く昇るH2Q。舞台の幕はここで閉じた。監督のチェックが入りバンド側はここでOKがでて楽屋に。時間はすでに24:30を過ぎている。疲れた。でもまだ本番は明日なのだ。H2Qが楽屋に来る。
このあとも彼女は取り直しカットがあるらしく僕らを見送って別れることに。細部にこだわる姿はこの国に来て初めてな気がする。そして、それに応えようと思う。01:00過ぎ、ホテルにもドル。とりあえずみんなで町中へ。もうどこの店もやっていないのでやたいへ。いろいろな課題やそれなりの満足感あふれる場だ。結局かなりもりあがってしまいホテルに戻ったのは3:30.いい店を見つけたとmachaがいう。きっと明日も来る気がするね。4:30就寝。
第三章9幕はここで閉じることになる。困難な道はその難度に違いはあれど、必ず生きていく中で何度も何度もぶち当たる。そこで降りるのも、乗り越えるのも、ほんの少しのことですべてが変わっていく。共に進む仲間がいれば乗り越えられる壁。そしてその先にはまた次の壁と、そして越えた者だけが見れる、少しだけ自分の思い描いた世界が広がってゆく。力を合わせていけばまた次の壁もこえられるのではないか。そう思う気持ちがすべてをクリアにしていくこともある。大変なことは覚悟の上で進むRoad to asia。またすぐにそのチャンスはやってくる。ハノイで何を残せるか。とっておきの楽しみはまだみていない。
GYPSY QUEEN ROAD TO ASIA#29
2011/05/19-2011/05/23
Pray