I Wanna be born in china
2002/01/27-2002/02/03 珠海~上海


9.1500万都市!上海!

2月1日5:45am。曇り。

寝不足で辛い。
まだ外は暗い。
潤坊がキーボードを弾き止めた15分後、僕は強烈なめざましの音で飛び起きた。
今日は上海に移動。移動後ARKでの公演が待っている。
長い一日になりそうだ。今回のツアーで初めて二日酔いになる。
頭が痛い。
朝食もそこそこに7:00am出発。ガタガタ道が胃にきつい。

8:00am珠海空港着。
「黄さん、富昭さんありがとうね!」もう頭は上海に映っていた。
そんな移り気な僕らに嫉妬したのか、珠海空港で前代未聞のトラブルに巻き込まれる。
搭乗をしようとチケット発見カウンターに行くと一席足りない。
そう、上海を出るときに何故か「カバヤマジュンイチロウ」が二枚あった。
おかしいと思って上海の空港カウンターにいうと「そのままで大丈夫。のれます」といわれ、珠海に向かった。
そしてかえりの今日。発券カウンターには重複した二人目の「カバヤマジュンイチロウ」はキャンセルされていたのだ。
チケット自体は有効だが、あいにく僕らの乗る便は満席だった。
しかも一日一便しかない。上海に行けない!
猛烈なクレームをいれる富昭さんと黄さん、でもカウンターは「私達は知らない」と言いきる。
そりゃそうだ、「カバヤマジュンイチロウ」で良いと言ったのは上海のカウンターであってここ珠海ではない。
時間は刻一刻と過ぎていく、その間にも機材の機内持ちこみ許可の為に空港内を走り回るメンバー。
再度カウンターに戻ろうとすると、もう一度セキュリティチェックを受けろといわれる。
「時間ないんだよ!」言っても認められない。
タイムロスを承知で再度チェックを受けに回り、カウンターに辿りつく。
しかしまだ、富昭さんはもめてる真っ最中だ。頭に着たから荷物を機内預けのベルトに載せた。
「ここに置かないでくれ!」多分そういっている空港係員がいる。
「俺はこの飛行機に乗らないと行けないんだよ」
日本語とゼスチャ全開で言い合う。険悪だ。
そんな時、結論は上海についてから航空会社と遣り合うということになり、とりあえず搭乗の許可が出た。

残念ながら満席で同じ便に乗ることができなくなったカメラマン店長氏が一人、別便のアモイ経由で上海に向かう事になった。
いまいち納得はいかないが、まあ、乗れることになった。
ここで、ほんの少し早い便で北京にもどる富昭さんと別れる。
最後の最後まで、面倒をかけてしまった。
「またね!」と日本語で富昭さんは走っていった。
「ふーっ」さ、僕らも急いで乗らなければ!と、そこで次の事件が。
僕らの荷物は全部で12個。しかし、カウンターでは11個しかないと言う。「いいかげんにしてよ」と思う。
メンバーに自分の荷物を確認したかどうか聞いてみると、それが定かでない。
失敗だ。自分の荷物は自分で管理する。よく日本人は仲間の荷物も「親切」のつもりで持っていってくれたり預けてくれたりする。だが、そこでよく「重複」する事があるだろう。今回は確かに朝早くみんなボーッとしていたかもしれない。
それでも、自分の荷物は自分で預ける。または誰かに確実にお願いする。という基本の事をしなかったのだ。
「誰かがやってくれる」は誰もやらないと同じ事だ。
とはいえ、すでに荷物は流れてしまっている。
何がないかはわからない。9時をすでに回っている。
もう間に合わない。黄さんはまだ、係官と遣り合ってくれている。
上海に今行けなければ、全ての予定はパー。
最悪だ。

「さあ、みんな急いで!」黄さんが言う。
「荷物は?」大丈夫です。フダが12枚見つかりました。

「なにぃぃぃ~」カウンター係官の見落としでよくよく探させたら12枚合ったという。
勘弁してよ。ま、とりあえず搭乗だ。
今回も空港で全力で走るはめに。中国の空港はとにかく大きい。
グラウンドみたいなロビーを駆け抜け、登場ゲートへ。
黄さんにお別れの挨拶もできないままダッシュだ。「黄さん、ありがとう!今度絶対広州にいってお礼をするよ!」
そう思って走る。9:25am最終搭乗者のバンドメンバーが乗りこみ、予定より10分遅れて僕らは上海に飛び立った。
どっと疲れが出た。まだ10:00am前なのに。

そうして、僕らは上海に到着。
人口1500万人、中国経済の中心地上海。
ここ上海は二つの空港があり、ここは上海虹橋空港と言う。
昨年南京に向かった空港だ。
やっと半年前に辿りついた。半年前と同じ場所で写真を取り思い出に浸る。
そこに空港にきていたりんちゃんと合流。
りんちゃんは黄さんから事の全てを聞いていたらしく「大変でしたね、航空会社に抗議しますよ!」と言ってくれた。
ここで更に応援団と遭遇。
なんと上海の領事館に僕らのことを宣伝してくれたらしく、副領事の方と会うセッティングまでしてくれていた。
素晴らしき応援団である。出発のあわただしさも忘れ、上海の町を走る。
上海はとても大きな町だ。
よく「ここは銀座と新宿を混ぜたような町だね」
なんていったりする。でも、そう言う言葉では形容し得ない。
その理由がわかった。
多分、初めてニューヨークにいったい人は「ここは日本の○○みたいだ。。」なんて事は言わないと思う。
ニューヨークにはれっきとしたニューヨークの顔がある。
上海も同じだ。ここは「上海みたいだ」なのだ。
混沌と先進。自由と規律。
様々な要素が入り混じり「上海」ができあがっている。
家庭用のビデオデッキはないけれど、大体の家庭がデジタル放送を受信している。急激な発展がそのことから分かる。
数10万円の高級品のニセモノが堂々と1000円足らずで販売されている。
街角のスーパーで30円のビールが700円で売られているバーが繁盛する。
理解しがたいがそれが上海。

「サンヘーローケイシング(上海は楽しい)」だ。

そうして観光客のように移動バスから町並みを眺めて1時間ほどで
今回の公演地「ARK」に辿りつく。
新天地とよばれるこの一角は恐ろしくおしゃれな街角。
日本では太刀打ちできないほど景観美だ。
「かっちょいぃ~」みんなそうつぶやく。
その中心に僕ら公演地「ARK」はそびえていた。



ARKにつき、そのあと上海の日本領事館に行き、今回のいきさつの話をした。話も盛り上がった。
僕らにとって表敬訪問は「あたりまえ」と思ったが、なかなかミュージシャンは自分から訪問しようとしないのだろう。
僕らの話を面白い、と聞いてくれた。とっても嬉しかった。
人と人って話さないと始まらないが持論のGQ。行ってよかったと思う。

そしてまたARKに向かう。
若干遅れ気味だったせいかARKに入っても「普通」のライブ同様すぐにセッティングを始めた。
ARKのいり口から2階にあがる。壁には有名なスターのポスターが張り巡らさせている。圧巻だ。
そして、ステージのフロアに到着。
とっても天井が高くてなおかつ広い。申し分ないじゃないか。そうおもった。
ようやく思いっきり音を出せる。わくわくしているんだ。このARKは素晴らしい。

機材も充実していた。日本と何ら変わりない。ステージ脇の楽屋に待機し打ち合わせを行う。
他のメンバの反響もすこぶる良い。いい感じで高揚している。
そんな中、FM103.7上海人民放送局の取材を受けた。
メンバー一同で中国語を読む。ぎこちないねぇ。
しのん以外ももう少し話せないと恥ずかしいねぇ。とみんな思ったに違いない。
それでも、インタビューは楽しく終わった。

リハも終わり夕食を取りに朱さんと街中の「上海人家」というレストランに向かう。
活気に溢れる街中を歩く。
町を歩くとその町の盛況振りがよく分かる。ものすごいパワーをもっている町だ。
朱さんは今回僕らを呼んでくれた中心的人物。日々変わる急な日程のなかいろいろ調整してくれた人だ。
日本にも住んでいた朱さんは日本語も上手い。ほっとする。
本当はこういう事でほっとしてはいけないと思う。
もっと自分の努力も必要なのに。相手が日本語を話せてほっとしているうちではまだまだだ。
レストランでは上海料理を中心にヘビなど初めてのものも食べた。怖い、けどうまい。複雑な味だ。
これが上海の味。豪華な歓待の宴も終わり会場に向かう。

本番前なのであまりお酒も飲まずに。偉いねぇ。と自分を誉めておこう。
会場に戻り、エンジニアのあたらしさんと会話。
日本人のエンジニアなので、コミュニケーションも完璧だ。
バランスなど細部に渡って打ち合わせをしてとうとう上海でのステージを迎える。
楽屋ではメンバーのテンションが高まる。
「頑張ってね」とりんちゃんが楽屋に来る。応援してくれている仲間も見ている。
期待の分だけ気合も入った。
いよいよだ!




 
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