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Vietnam Fes 2

Photo by T.Hagiwara

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いつ強くなるかわからない雨の不安。そして、足元も悪く、傘の水滴が衣装にまとりつく狭いバックステージ。そんな中にベトナムの3大スターが募る。
多少の申し訳ない感があり、あまりそばによりつけない。本来もう少しコミュニケーションをとっておけば、という自体ではあるがそれも始まりの前のあわただしさにかき消されてもはやない。あわせて言えば緊張感も吹き飛んだ感じだ。

プログラムに従い出番となる。

去年ホーチミンで聞いたこのイベントの事。もう一年じゃないか。あっという間の一年はベトナムをよく知ることになった。音楽、文化そして人。何よりも多くのベトナム人と知り合い交流をすることができた。十分すぎるほどの出会いの結果が今日からの三日間で表現される。
継続した関係はさらに玉蘭の輝きを見せることになるのだろうか?

司会者に呼び込まれてステージにでる。
そこには雨の中ずっと待ち続けた大勢のお客さんがいた。そして、大歓声。

もはや何も考えることはない。目の前のみんなと一緒にステージを過ごそう。
バックには強力な仲間がついている。そしてコンサートは始まった。

一曲目はベトナム国歌。

そこからボンホンチョイにつながる。

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06年のホーチミン。初めてベトナム国歌を演奏したぼくら。それ以来の演奏となる。
ボンホンチョイは07年の冬。メコンデルタをくだりチャービン州の小学校の子供たちと一緒に歌った曲をロックにしたものだ。
ぼくらの選曲には非常に意味がある。まあ、見ている人には伝わっていない部分もあるけれど、ぼくらの曲はすべて人との出会いの曲。
国歌だって塩崎さん思い出すよ。ボンホンチョイはあの子供。なかなか笑わなかったのに一緒に歌い終わったら最高の笑顔を見せてくれた。
そんな景色が頭に広がってくる。

今回のメンバーはドラム、ベース、ギター×2、キーボード×2の大編成。masaoのトラブルで急遽トラに入ったトオル。今回サポートギターで入ってくれているshujiの仲間でPeaceful Cloverのドラマーだ。この急遽のピンチに駆けつけてくれた。ありがたいことだ。
この日の前夜祭は出演アーチストが一曲づつ歌うことになっている。一番バッターのGYPSYQUEENは十分に会場を暖めた。そして、次はHienThucだ。
観客からはさらに歓声が上がる。そうだよね、信じられない。ベトナムのアイドルがここにいるのだから。きっと故郷を離れてここ日本でがんばっているベトナム人にとっては最高のことだろう。

そんな人たちのためにもいい演奏をしたいと思う。

昨日、来日直後から会って今日まできたがなんとなく違和感があった。

なんだかこんな感じだっけ?みたいな疑問もあった。

しかしステージに出るとそれはすべて払拭された。ホーチミンで競演したあのHienThucが今センターに立っている。DouCoLoiLamを歌い上げる彼女。

会場も一体となって盛り上がる。その後安田姉妹のお二人が会場に来る。サプライズゲストである。

そしてLamTruong登場。誰もが知るベトナム最高のポップシンガーだ。ステージソデに目をやるとこちらを見ている。

「ばっちりだよ!」そんなアイコンタクトで演奏は始まる。

抜群のステージで最後はMyLinhの登場だ。

この日の演奏は直前になりカラオケでぼくらのまだ聞いていない曲をやることになった。
最後にやる曲の前に一休みといった感じ。彼女の歌声が夜空に響き渡る。間近で見ることができたぼくは幸運だ。それくらいの圧倒的な歌唱である。

MyLinhも一曲を歌い終わり最後のHappy to see youとなる。この曲はこのフェスの公式ソングとして取り上げていただいたGYPSYQUEENの楽曲。

それをLamTruongがベトナム語で歌い、shinonが日本語で歌うというものだ。

この話の途中からHienThucも加わってきて結局3人で歌うことになりこの日の前夜祭もこの曲で幕を閉じる予定だった。

しかし、ここでMyLinhが暴走。もちろんいい意味だけれど、急に「Paradise in your soul」を歌うといいはじめたのだ。この曲はご存知のとおりGYPSYQUEENと香港のBeyondのドラマーWingとのデュエット曲。

それを今回、MyLinh用に提供した。

日本にくる半月前に音源を渡し、前日のリハーサルでも一回きりだったので本番で大丈夫だろうか?

当日やはりできないというのでは?なんていう思いもあった。

でも、それは失礼な認識であった。

ベトナムを代表するシンガー。ステージに照準を合わせ完璧に歌い上げてきた。その歌唱は宇宙的なボイス。すみません、こんな稚拙な言い方しかできずにごめんなさい。とにもかくにも表現できない、間違いなく今まで聞いてきた音楽の中でJAXA的な歌声であった。
バンドもそれに引っ張られかなりハードなアレンジに。GYPSYQUEEN!と連呼する彼女。今回の公演の成功の約束手形は切られた。これで三日間すばらしいステージを作ることができるだろう。そう実感した瞬間だ。

そして、最後のこの一曲。Happy to see you。再びshinon,HienThuc,LamTruongがステージにそろい歌う。

この曲ももっと速くMy Linhに渡せばこのときに思った。

Paradiseもそうだ。LamTruongに渡しておけばきっと男性パートを歌ってくれたに違いない。
準備をすべてしたと思っていても抜けはたくさんある。このステージの中でももうひと輝きはたくさん見つかった。これらをすべて覚えていて記録して次に活かそう。

あまりにもの大スターとの競演に消極的になってしまったのかもしれない。でも、がらじゃないね。そんなのは。

彼らは教えてくれた。最高のステージをやるのにやりすぎなどないと。

それは目の前にいるお客さんたちが証明してくれた。

今からでも間に合う。

もっともっとたくさん会話してステージを作っていこう。舞台に上がり演奏が始まっても変更はかまわない。

そういえばぼくらはいつもそうしてきた。ここ日本のステージでも同じことじゃないか。
頭が切り替わった。このイベントもぼくらのツアーなのだ。

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