Beijing2008 8
- Post by: AKI
- On: 11月 14/08
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中途半端にやるならばやらないほうがいい。
それでもGYPSYQUEENの公演に NOはない。?
僕らなりに作り上げたスケジュールではこの夜の公演は締めくくりでもある。
そのためにPeaceを昨晩温存しておいた。だからこそやらないという選択肢はないわけだ。だとすればなんとかやる場所を確保しなければいけない。それもちゃんとした場所を。それは僕らの責任でもある。
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そこで思いついたのがboy&Girlだった。
Boy&Girlとは今回、何か縁を感じていたのだ。
最初出演意向を伝えると会場側のスケジュール的にNGだったので結果的にSwingBarを選択した経緯がある。
しかし、訪中前日の夜に連絡があり「GYPSYQUEENを受け入れる」と回答があった。
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しかし、先に決まったほうを優先すべきということでいったん申し出を断っている。
次の接触は当日。Swingbarにいくためにboy&Girlの前を通ったら「日本人バンドだろう?こっちだよ」とboy&Girlに連れ込まれそうになった。ハロウインということもあり、単に客引きされたと思ったので「ちがうちがう!」と振り切ってきた。
そして、その数時間後、僕らのコンサートを見に来たサイさんの話によると「Boy&Girlに電話をして今日GYPSYQUEENのコンサートは何時からあるのか、と聞いたらバンドから出演をキャンセルされてしまったがもしあなたがバンドと知り合いならGYPSYQUEENに出演するように行ってくれ」といわれた。というエピソードも。
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ここまではすべて31日の夜中のことだ。
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そういった縁を強く感じて、もしやこのピンチは接触のとき?と思いLitaoさんにBoyGirlに電話をしてもらう。
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その場ではマネージャーがいなくて後でかけ直すとのことだった。しかし、電話に出た先方の話だけを聞くと、31日に店の前を通ったGYPSYQUEEN一行に声をかけたが、「日本人じゃない」と言われて無視をされたのでオーナーは怒っている。ということだった。まあ、確かに振り切ったがそれは誤解だ。釈明しておかないとね。そして、なんとか話をまとめたい。
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Litaoさんが「甲丁坊キャンセルしましょうか?」というので「Boy&Girlが確定してからにして」と抑える。
慎重な判断をしないと命取りになる。お店にはJAMICで会った子達がきている。きっとチャージも高い店なのに見てみたい!という気持ちでわざわざ来ているのだ。この子達のケアもしないといけない。
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そして、10数分。再度電話をしてみるとマネージャーにつながりとりあえずBoy&Girlでのステージを30分のみ抑えてくれるとのことになった。要は一バンド分の時間をくれるってことね。確かに当日の話であればそれでも十分考慮してくれた結果だろう。僕らはそれを2つに分けなければならない。セッティングも込みであるからかなり厳しい。
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でも、確かboy&Girlのステージはかなりいい感じだった記憶がある。それならばすぐにYesを選ぶべきだろう。
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「Litaoさん、移動しよう。甲丁坊はキャンセルね。」
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決めたらすぐに移動だ。3里屯までは近くはない。全員に撤収を指示して移動。一応お店の人には謝っておく。そして、JAMICの子達にも事情を話す。「ごめんね、ここではできない。これから三里屯でやるよ」どうしていいかわからない彼らのために「よかったら一緒にバスに乗っていこう!」と提案。
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みんな喜んでくれた。この現場感覚が中国のよいところ。きっと彼らも一緒に会話できることを喜んでくれるだろう。
僕らも生きた中国語の学ぶチャンスだ。Litaoさんにも説明して許可をとる。
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バスに戻る道。Litaoさんは何度も僕に謝った。「私がちゃんと確認しておけばよかったのに本当にごめんなさい。私はだめです。」と。でも、そんなことはない。会場の機材のことは会場しかわからないし、大丈夫だといった店の人が無責任であってLitaoさんはまったく悪くない。それよりも予定を次々に変更している僕らのほうが申し訳ないくらいだ。
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そして、そのときふと昼間のことを思い出した。ランチのとき、結局仕切りがうまくいかずに僕らはバスのところで待たされたのだがそのときのガイドさんはたとえ話なのだろうけれど「中国人は悪くても決してあやまりません。たとえば私が悪くてもあやまることはしません、それが中国です」といっていた。
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脈絡のない話だがそんなことをなぜ言うのかな?とおもった。中国人すべてが悪いことをしても誤らないなんていうことはない。現にこのLitaoさんは自分が悪くなくても迷惑をかけたという思いで僕らに謝っている。
この人は正真正銘中国人だし、僕らが普段感じるように自分の責任と物事のよしあしを見極めて日本人の僕らと同じように物事を考え、悪いと思ったときには謝る。
昼間のガイドさんの話だけ聞くと「なんて中国人は傲慢なんだ」とおもうかもしれない。
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でも、決してそんなことはない。自分に非がなくてもみんなが困っているとまるで自分のことのように悪いと思い誤り、何とか打開しようとするすばらしい中国人が目の前にいる。
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何でも物事を決め付けて考えるのはよくない。たくさんの人をひとつの考えで表現するのはよくない。僕の周りにいる中国人の朋友はすべてみなすばらしい人たちだ。
お互いのことを考えお互いを理解しようとする。もちろん、アバウトなのは日本人も同じだ。なんだか、昼間の話がちょっと腑に落ちなかったので、それをこうして目に見える形で払拭してくれたLitaoさんには心から感謝をしたい。
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バスは30分ほどかけて三里屯に到着。すでに21:30を回っていた。
機材をもって会場に向かう。そこには徐軍さんが待っていた。もう会えないと思っていたのですごくうれしかったね。なんとなく頼もしい。
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開口一番「AKIさん、出演時間を延長してもらいました。」お?さすが徐軍さんいいところで出てきていいところでいい仕事をする人だ。こんな僕らを支えてくれている人たちが中国にいることを本当に思い出した。Boy&Girlにはいってみると昔のステージとは違う綺麗なステージだった。昔の混沌としたステージも好きだが、ここは美しく進歩している。そして、ステージで歌っている張さんがマネージャーでもありステージをすべて仕切っている人だった。
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「あ、あの人だ」。初日、僕らに声をかけたのはこの人だった。きっと無視をされて怒っていたのだろう。でも、こうして最終日に快く迎えてくれた。この恩は音で返さなければ。22:15.ステージは始まる。最初にGYPSYQUEENが演奏する。一般の人もいるだろうということも考え(まあ、みんな一般だが英語とかもわからない一般の中国人のお客さんという意味ね)中国語、英語、そしてオリジナルという構成にする。このステージぎりぎりの曲変更にようやくしゅうじも慣れてきた気がする。
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演奏はお客さんのためにやるのだから、そのお客さんの状況を見て楽曲を決めるべきだ。あらかじめ、僕らの公演とわかって集まっているオーディエンスであってもそうだ。日本ならよいのだが海外では客層によって受ける受けないの前に通じる、通じないの壁がある。
それを見極めてステージに立つということを感じてもらえれば彼に今回参加してもらったお礼として何かを返すことができるだろう。この旅の最後の曲を終え、ステージを降りる。僕らの後はpeaceに任せた。
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今までは自分たちだけだったが今回は仲間がいる。僕らだけではないツアーもこれが初めてだ。最後はみんなで盛り上がろう。
数曲の後、張さんが徐軍さんの所にきてなにやら耳打ちをしている。セッティングに手間取ったりして時間がオーバーしているようだった。次の曲を聞き、最後の一曲に入ろうとしているpeaceにNGのサインを出す。
最後だからもう一曲やらせてあげたかったが、ここは約束。それを優先してしまえばいきなり時間を空けてくれた張さんやその時間を引き延ばしてくれた徐軍さんに迷惑をかけてしまう。申し訳ないがここでとめさせてもらう。
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そして、彼らは音を止めた。
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きっと最後にやってしまいたかっただろう。それでも彼らの理性が音を止めた。これで彼らには次の一歩が生まれた。どんなときにも自分の環境を理解して判断できるバンドマンになっていた。僕は彼らを尊敬した。
張さんとshinon