13時間のランナーたち 大船渡編
- Post by: AKI
- On: 8月 12/12
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水沢江刺の駅についたとき、「あっいつもの駅にかえってきた」と思った。
大船渡から90分かけて車で迎えに来たサトケンの顔をみて再会の熱い抱擁も言葉もなく「どうも!いろいろありがとうね」と言葉を交わす。
僕らにとって、ともに生きていこうと思った仲間が増えったってことだ。
「なんだかなつかしくないですよね」とサトケンがいう。
その通り。僕らはつながっている。
この日はライトアップニッポンという被災地を花火でつなごうという企画の元、大船渡も夏の音楽イベントを共催した。
そこにゲストとしてサンプラザ中野くん、バンバンジーのエターナルジャーニーと参加。
中野くんとバンバンジーは震災以降ずっとこうして被災地を回っている。
音楽ができることをやっていこうという気持ちは誰にでもあるだろう。でも、ぞれをずっと続けているって本当にすごいことだと思う。
こんな師匠に恵まれて僕らの思いも増幅する。
そして、会場入りしたのだが、朝6時に東京を出た中野くん一行がお盆渋滞にはまって、どうにも届かない位置にあることを知る。
まずい。今回のメインは中野くんなのだ。
30分おきに位置情報を確認する。
矢吹で高速を降りました。
相馬周辺です。
もう間に合わないかもしれない。実行委員会も焦っている。
会場は時折の雨、心配は重なる。
東松島です。
気仙沼に入りました。
大丈夫か、間に合うか?サトケンが言う。
「ちょうど二時間くらいですね」
そして今は17時を少し回っていた。
それに合わせて会場のスケジュールも変える。
GYPSYQUEENは予定の曲を増やしてぎりぎりまで中野くんの到着を待つことにした。
いつでもできるようにね。僕らの出番が近づいてくる。
花火が19時ちょうどに上がるために、すべての電源を1850までには落とさなければいけない。
終了時間は1830.それを多少押しても限界はある。そしれ押し気味で進行して18時。
GYPSYQUEENのステージは始まる。
大船渡はもう3回目だ。
最初は大阪王将と連携したPrayfor japanで来た。
初めて見た町は何にもなくて、ここに町があったことはがれきの山だけが教えてくれた。
いや、がれきではなかった。壊れたての街だった。
2回目は碁石海岸。一年が過ぎ、復興が見えてきた。そんな中での仲間との再会だった。
そして、いつしかここに来ることが当たり前になり、ここの友のことが自分の家族のようになり自分たちにできることを探してまた来ることになった。
そんな気持ちを込めて演奏をした。
shinonにとっても大切な友人ができたこの町。僕らはアジアに「仲間に会いに行く」と旅立っているが日本でも同じことなんだ。
ただ、今回の僕は演奏だけではなく、中野くんの状況を事務局に伝える役目もある。
演奏中でもね。
18時。演奏がスタートしてスマホを持ちながらの演奏。
2曲目に入った時に電話が来る。
「大船渡にはいった!必ず行くから準備して!」
中野くんからだった。
声が生きていた。
なんとなく間に合いそうな気がした。
4曲目。再び電話。
「もうすぐ!車をどこに止めれば?」
バンバンジーだった。
みんなすごい。東京から13時間。
来るまで飛ばして、もう間に合わないかもしれないのに誰ひとりあきらめていない。
みんなに歌で応援の気持ちを届けようと、その一心で向かっている。
「ゲートに伝えるのでそのままステージにつけて!僕らはステージでスタンバイしているよ!」
でも時間は18:40を過ぎていた。間に合うのか?GYPSYQUEENも最後の曲に入ろうとしている。
「もうつく!!ランナーやるよ!!!」
中野くんの叫びにも近いテンションで最後の電話が鳴る。でも、GYPSYQUEENのエンディング。時間は18:50.
間に合わないのか?13時間飛ばしてきても間に合わなければ意味がない。
なんとなるんじゃないか。みんなが待っているステージ。
一曲でも聞いてもらって元気を届けたい。
車はどこにいるんだ。
間に合わないのか。。
18:54演奏は終了し、大会委員長のあいさつの準備になる。
実行委員会の方にお話しする。
今そこまで来ているのであと4分。一曲だけでも伝えさせてください。
時間を守らないのはルール違反だからそれはしたくない。でもそのためにはもう来ていないと間に合わなかった。
中野くん。
まにあわないのか?
委員長が壇上に上がる。
でも、僕らはあきらめずアンプも電源を生かしておいた。
中野くんがくれば一秒でイントロに入れるようにmasaoもスタンバイ。
でもバンバンジー号は無情にも届かなかった。。
もう少し待てませんか?とお願いをしているとそこに黄色いランナーが駆け込んできた。
「ランナーやるよー!」
中野くんだ!
車を乗り捨て走ってきた中野くん!
時間は18:56分になろうとしている。
「演奏許可してくれますか?」きちんと説明をしたらなんと委員長のご挨拶を後に回してくれるという。
これでOKだ!
いくぞ!
もう誰もが間に合わないと思ったステージ。そこに紹介もなく、MCもなくランナーのイントロが鳴り、そこに本物の
サンプラザ中野くんが登場した。
会場は一気にボルテージが上がり、ステージ前には人があふれた。
まにあった。すごいね。持っている。師匠、持ってますよ!
そして、エンディングの数秒後花火は揚がる。
ライトアップニッポン。復興への灯は大船渡の夜空に灯った。
何事も最後まであきらめないこと。それがよくわかった。13時間走り続けたランナー号のバンバンジー、ケイちゃん、渡辺さんと師匠中野くん!
そしてぎりぎりまで時間を調整してくれた実行委員会の皆さん。
スタンバイをするための曲の変更、ステージの準備にがんばったGYPSYQUEEN。
そして大船渡のみんな。
あきらめなければ何かが変わる。
また、会おう!
最初の写真のタイトルは「中野くん、大船渡のボルトになる。」