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Vietnam Tour 5

昼食を終えてホテルにいこうとすると「ここがホテルだ」といわれる。

そして「部屋が少ないので5人は別のホテルになる」とのこと。

距離は歩いて10分くらいらしい。

ミーティングとかをするために数十分歩きたくないのでメンバーとスタッフに分かれて宿泊。

 

メンバーは食事場所兼ホテルを出てデルタの小橋をわたる。

道ギリギリの車体。

Giangがいう「今晩のホテルはリバーサイドよ!」おお、なんだ、楽しみだぞ。

 

俄然盛り上がる。

それはきっとそれぞれにメコンデルタ=リバーサイドというような気持ちがあったからであろう。

しかし、甘かった。

バスは最初川べりを進んだが、途中からデルタから離れていく。

すぐにバスは止まった。

河よりも低いところ。

そこが僕らの宿だった。

 

部屋に入ると大量の蚊の洗礼を受ける。

まあ、仕方がない。

ここには豪華なホテルなんてないところなのだ。

だいたい、日本は金銭的に裕福な国でありその国からアジアを支援するということ自体財力なくして成り立たない。

だから、そういう支援をする人たちが現地に入るときもきっと豪華なホテルなんだろうとおもった。

でももし、そこで何万円も使うなら支援活動に使ったほうがいいのではないかなあ、と。

 

しかし、現実はシビアである。

このAEFAの方たちは本当に普通のベトナム人が普通に泊まる所に泊まり(あまりきれいでない)、そして、何時間もバスで(それも快適とはいえない道中である)移動して子供達に何ができるかを直接きめていくのだ。

 

余裕なんてないぎりぎりの状態で活動をしている。

よく外遊なんて言葉があるがこんなにシビアに活動しているのには一緒にいてビックリだ。

でもきっと本音のみで活動しているからドナーに対してもきちんと協力依頼ができるんだなとおもった。

まずは自分がやらないとね。

それを考えると僕らの音楽を伝えていく、ということよりも複雑で大変であるとおもう。

僕らも頑張らねば。

今頑張らねば。

部屋が云々と言っている場合ではない。

 

再集合は13:45。

建設中の学校を見せてくれるという。

14:30。

現場到着。

大勢の作業員が出迎えてくれた。

まだ、ぜんぜんできていなくて今はちょうど土台のくいを打っているところだ。

地盤がゆるいせいか、面白いように杭ははいる。

役に立つの?

とおもうほど地盤はやわらかい。

こんなときは僕らになすすべもなくただ見ているだけだ。

 

15:00。

交流を行う学校に到着。

いよいよ僕らの出番である。

昨年からはじめている子供達との交流もだんだんすべきことが分かってきた。

 

子供達の表情を読んでいると何を求められているのかが分かる。

最初こういった学校に来たときには日本の伝統的な歌を紹介しようかなと思ったことがあった。

でも、ここの子供達にはそんなことが分からないということに気づいた。

「もっと楽しい歌を歌ってよ」。

子供の顔は正直だ。

そうなんだよね。

大切なのは式次第ではない本当に子供達が喜べるもの。

音楽は訓練や授業ではなく夢空間だ。

気持ちよくなってそして、それが少しでもその人の役に立つことがあればいい。

だから、ぼくらもスタイルを変え演奏をするようになる。

まずはベトナム語。

ベトナム語しか分からないかれらに英語も日本語も一緒の聞きなれない言葉だ。

そして、はやりの曲も流行っていない曲も彼らにとっては音の羅列に過ぎない。

大切なのは手拍子をして楽しめること、そしてそれが自分達が覚えられるかどうかということだと思う。

Friendshipソング「Chung Ta La Ban(君と僕は友達)」は彼らの為に作ったもの。

それをベトナム語にしてみんなで歌う。

たのしみだ。

しかし、残念ながらこの会場にはその歌詞が届いていなかった。

 

「なぜ?」。

この曲をやるためにここまできたのに残念なことだ。

まあ、現地側が用意しなかったことを予測して僕らが持ってくればよかったことなので相手を一方的に攻めることは出来ない。

きりかえて現地の子供達が好んで歌うという曲「Bon Phuong Troi」を即興で演奏する。

これは楽しい歌らしいのだがメロディがめっちゃ哀しげ。

ベトナムの哀愁なんだろうか?

それをボーイソプラノで歌われると不思議な世界に導かれるようだ。

これやばいです。

日本でも披露してみようと思う。

ものすごく切ないのよ。

子供達ははじめてみる日本人、バンドを奇異の目で見ている。

僕の隣で歌う子供の目を見ると丸く、どこまでも深い目をしている。

どう写っているんだろう。

この隣でギターを弾いている日本人について彼の中でどう思うのだろう。

とても気になる。

この接触が彼にとってよきものであってほしい。

そして、自分もこうなりたいと思ってくれるだろうか?

記憶の中に少しでも残してくれるだろうか?

サイゴンから6時間。

多分観光地も何もないこの場所に日本人が来るのは珍しいことだろう。

まして、音楽をやりにくる人は皆無だ。

商業的には100%成り立たないから日本のアーチストはまず来ない。

僕らが到着する前に「バンドがくるといったけれどここにバンドなんか来るはずがない、とみんな信じないんですよ」とスタッフに言われた。

 

でもぼくらはここにきて何もないこの場所で見つけた。

 

どんな世界でも子供達の笑顔は力強く、そして、何故かこの笑顔を守ってあげたいと思ってしまうことを。

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