Mekong Tour 7
- Post by: AKI
- On: 2月 22/09
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2009/2/12
7:30起床。快晴。そして、すでに異常に暑い。テラスに出るとその湿度の高さですぐに汗ばむくらいだ。8:30朝食をとり会場に行く準備をする。そういえば昨日はこのツアー初のライブのなかった日。そんなこともあり休養は十分という感じだ。9:40ロビー集合、オークライが大使館と連絡を取ってくれて10時に表敬訪問に行くことになっている。バンに乗って出発。10:05日本大使館に到着した。ものすごく重厚な建物という印象。鎌田さんが迎えに出てきてくれた。
まずはご挨拶。「重厚なつくりですね」と尋ねると鉄格子は手りゅう弾の通らないサイズということを教えてくれた。そうか、安全な日本では考えられないことがここにはあるんだなと実感する。大使館の会議室に通されて待っていると丸山公使がいらっしゃった。まずは急な訪問とご対応いただいたことにお礼を申し上げる。どこでもそうだが現地の情報や状況は大使館が一番持っている。お話を聞くということはそれをそのままステージ演出に役立てることができるので非常に意味がある。
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以前、ラオスの赤嶺さんにいろいろなことを指導してもらった。お辞儀の仕方、角度や上げる足の左右まで。そういった小さなことから本当にその気があるかどうかをお客さんは感じ取るのだろう。デリケートな部分なのでその辺をきちんとしたいといつも思っている。できないとか付け焼刃とかまして恥ずかしいとかそんなことでは相手の国に失礼だしね。公使からいろいろなお話を伺った。「カンボジアの子供たちの目はきらきらしているんですよ」そう話す公使。そこに視点を当てていることがすごく共感できた。僕も持論を展開する。出会えてよかった。今日はコンサート自体にはタイミングが合わずいらっしゃれないそうだが終了後の時間は空いているとのことで終了後にいろいろ感想を述べさせていただくことになった。本当に忙しいのにありがたいことだ。
およそ小1時間。僕らは大使館を後にする。今、日本の子供たちもいろいろ問題が多い社会に生きている。物が余る時代に生まれた良さと辛さが共存している現代。きっとこういった勢い全盛期の国に来ると何かをつかめるんじゃないか?と思う。何でもあるけれど何もない国と何もないけれどなんでもある国。お互いが学ぶものは大きくそれを実現できれば世の中少し変わるだろう。それにしても昨日きて今日までまだ24時間とたっていないが、日本で報じるカンボジアと今、今日、僕の見ているカンボジアには大きな隔たりがある。地雷や混沌のイメージばかりがクローズアップされるがそうでもないと感じた。普通に活気のあるいい町。それがぼくらのイメージだ。
DeepなAsiaからBeautyなAsiaへ。そう変革しつつあるんだろうね。大使館をでてバンはコンサート会場に向かって走る。オークライにお礼。本当にMr.Perfectだ。仕切りは完璧、そしてどこに行ってもみな知り合いのようで誰とでも気さくに話をしている。頼りになるね。11:00会場に到着。すでに競演歌手が来ていたのでご対面。男性1名と女性2名に入ってもらい一緒にみんなで歌おうというものだ。演出含みのRHを実施。具体的に観客の動きが読めないので彼女たちは不安そうに歌っていたがその辺はこちらは経験値が違う。お客さんの入ったときの行動や流れを想定して演出する。
そこまではスムーズに進んだ。が。ドラムの打ち込みがうまくいかない。これは会場側ではなくGYPSYQUEEN側の機材トラブルだった。なんとMDが壊れてしまったのだ。まあ、相当ハードな移動ということもあり、電子機器はいつも危険と隣り合わせにいる。とにかくその代替機を用意しないといけない。とはいえMDを修理することは時間的に無理。となるとどこで売っているのか?ということになる。Viviとmabika2名が急遽町に探しに行くことに。その間もRHは続く。何度かmachaに電話が来る。条件の見合うものはなかなか見つからない。待ってるほうは気もそぞろ。そして、14:00「見つかりました、今から戻ります」。おお!助かった。
18時過ぎロンが来た!昨年カンボジアに帰国した大使館員だ。日本にいたときから気さくで会うたびに「次はプノンペンで」と話していた友人。今日は家族できていて子供がめっちゃかわいい。異国にきてこんなにも出会えてうれしい人がいるって幸せだ。クメールの刺繍のパネルをプレゼントしてもらう。大事にしないとだ。そして出番がやってくる。
18:40.スタートだ。オープニングのSEを流しイザ登場というときにMCによる説明が入ってしまい、飛び出すも何もなくなってしまい、SEが終了したあとそそくさとステージに上がる。それでも大きな拍手に迎えられこのツアー最後のステージは始まった。今回は日本語、英語、クメール語という構成を作った。日本のrockをつたえたい、でも理解されるか?そんな心配はこの二日間で払拭された。ここは全然田舎ではないし、文化も十分に発達した国だ。Rockのビートにもついてこれるだろう。実際そのとおり一曲目から盛り上がる。
英語のMCももちろん理解されるし、日本語を勉強している学生もいるせいか、時折日本語で声援もきた。学問に力を入れている国、ものすごい陽気さ。すべて知らなかった一面だ。音楽による交流をしにきた僕らだが今回はカンボジアに教わることばかりだ。途中英語の曲になると盛り上がった観客がステージに上がってくる。そして、それをたきつけるようにshinonが絡む。
その勢いで僕とmachaのMCコーナー「クニョム スローラン クマエ(I Love Cambodia)」は観客との掛け合い。恥ずかしがる人も多いと思っていたが、そうでもなくみんな元気に答えてくれた。やや飛ばしぎみだが、このまま乗り切ろう。Shinonがクメールのドレスに着替えてくると大きな歓声が上がる、あとから聞いたが司会者が「いつドレスを作ったの!」とびっくりしていたそうだ。
これは昨年の日本カンボジア外交関係樹立55周年のときに大使館のスンマレンさんの進めてshinonがつくったもの。その当初「つくっても着る機会あるかなぁ」と言っていたが作って正解だったね。ここでこの衣装で登場できるってやはり「もち幅」だとおもう。過去からの経緯があってここに行き着いたこと。そうでなければ不可能なことである。そして、それをお客さんがものすごく喜んでくれたことですべては答えとしてshinonに舞い降りるということだ。
1時間のコンサートはあっという間だ。最後の曲になった。このコンサートの最後の曲をどうしようかといろいろ思案した。このツアーのテーマソングでもあるBlueSkyで終わるか、それともカンボジアの曲アラピアで終わるか。悩んだ結果、最後はアラピアで終わることにした。このすべてのケアをしてくれたカンボジア政府に、そしてオークライに感謝の意としてこの曲をエンディングに決めた。
最初はshinon。すでにshinonのソロとはいえ観客も歌い始めているのでもう大合唱という感じだ。続いて男性シンガーが登場。この人がまたうまい。そして絶妙のハモリ。そして次にリサと司会の女性が登場。これで全キャストが揃った。
アラピアの動画はこちら
www.youtube.com/watch?v=o0oMzRkWI6Y&feature=channel_page
舞台下におりて観客をあおり場内を歩き始めるとなんと、観客もみなその流れについて踊り始めた。まるで宴会場のような風景。そして、冷静にステージ上で演奏をする僕、macha、masao。ここは降りていきたいところであるが全員が降りるとバランスがとれないので冷静にステージで演奏を続ける。
ステージ下では大変なことになっていたが、再びシンガーたちがステージに戻ると観客は座席にもどってくれた。これで全員ステージに上がられると機材やらエフェクタやら、何よりも演出的にボロボロになってしまうのだが、その辺のマナーもわきまえている本当に質の高いお客さんたちだ。そして、終了。派手なエンディングでコンサート、そして今回のツアーが終わった。文化省の人に大きな花をもらった。
いろいろ心配をしていたカンボジア。最も不安だったカンボジア。それが何の心配もなくできたことに感謝だ。
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オークライが口癖のように言っていた「Don’t worry anything」。すべてはその通りだったのである。一本やられたね。アジアのやり方を分かっていると思っている僕らも彼の経験値には届かなかったわけだ。脱帽です。感謝です。疑ってすみませんでした。ちょっとばかり判っている気に、相手ができないんじゃないかと高飛車になっていました。でも、あなたの言うことがすべて正解でした。ありがとうMr.Perfect。楽屋ではみな感激の嵐。最初あまり表情のなかったリサも再会の約束をしてくれた。カンボジア人は楽しいことが好きだけれどああして、会場をみんなで列になって歩くなんてはじめて!と感動していた。
リサの興奮した顔が本心から喜んでくれたんだなと伝わってきて僕もうれしかった。そして、オークライがにこにこしてやってくる。「よかったよ、またきてくれ。それにしてもなぜラオスで4回コンサートをやってカンボジアでは一回なんだ?本当は明日一緒にアンコールワットに行って泊まって明後日帰ればいいじゃないか。Hahaha」いつもと変わらない。その豪快さにみんな大感謝だ。
僕らは良くアジアで信じられないくらいな目にあったりする。でも続けている。その局面だけを見るときっとなぜGYPSYQUEENがアジアで音楽活動をしているのかわからないと思うだろう。そして時には「どんな意味があるの?」と思う人、言う人もいる。でも、今回のようなことは日本では絶対に起こらない。契約社会、約束社会ではこのようなことはありえない。これが日本だったら事前確認もできないまま、そのままそのとおりに対したことはできないし、それでも「事前から連絡が取れていなかったしやっぱりだめだったよね」となるだろう。
でも、アジアにはミラクルがある。時折このミラクルに遭遇する僕らは歩みを止めない。昨年のワットプーも想像を超えるミラクルだった。そして今回またMr.Perfectというミラクルに出会った。これは言葉にできない。してもわからないだろう。これを感じるのは当事者だけだろうし、このミラクルがあるからぼくらは自信を持ってアジアのすばらしさを語ることができるんだ。
楽屋口にはたくさんの学生たちが押し寄せていた。ポストカードを配るともう大混乱。「オークンチュア!」みんなありがとう。熱気冷めないまま20:30会場を出る。ホテルに戻り21時ロビー集合。打ち上げだ。今日の朝に約束したとおり丸山公使も来てくれた。オークライの勧めで川沿いのレストランに。もう、彼にすべて任せることにした。彼の勧めなら間違いはない。
丸山公使に今日のビデオを見てもらう。とても熱心にみてくれる。盛り上がっているお客さんをみて喜んでくれた。僕らもこの元気なカンボジア人のイメージを日本でも伝えて行こう。綺麗なカンボジア、元気なカンボジアをもっと伝えたいという公使の気持ちは僕らも同感。いい話がたくさんできた。忙しい中本当にありがたい。そして、周りでは僕らが日本人バンドと知ると店員も一気に盛り上がり始めた。
一緒に写真を撮って、乾杯をして、躍って。いつの間にかに僕らと同じくらいの数の店員が個室内に。ツアー最後の夜はこうして終わった。23:50ホテルに戻る。名残惜しい。メンバーは一度部屋に戻り24:10再集合。みんなで反省会だ。今日までの映像を見て、ツアーを振り返って。後日では忘れてしまう今の思いは一番重要だ。新鮮なうちに意見を述べて記録しておくことは必ず次に活きて来る。
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今回初参加のmabikaは本当に良くがんばった。前半の辛い環境でも笑顔をたやさないことは彼女の財産だ。しかめっ面をしている人と仲良くはなれない。誰も環境は一緒だ。そんな中で自分を楽しめること。それは才能なんだろう。今回、フルに活躍してくれて本当に感謝だ。そして、メンバー、スタッフの仲間たち。みな困難の分だけ思いはある。でも、それはすべてポジティブな明日のための言葉だ。Machaがロビーのカフェからアンコールビールを買ってきてカンパイ。
おつかれさま!そして2:00。一足先に部屋に。メールがつながった分やることが増える。一仕事して3:00過ぎ。もう寝よう。ツアーの最後で最高のステージができた。本当に人には何が起きるか判らない。信じて最後まで行き着いた時にその誉を知ることになる。まるでSIQだ。